Vol.05 俺のベスト詞

*この記事は、いではくインタビューブログ「酒と話」(2022年5月号)を転載したものです

月に一回、いではくのお気に入りの飲み屋さんへ行って、軽く酒とつまみをやりながらテーマに沿った話をする「酒と話」。第5回は、吉祥寺にある中華料理店「吉祥菜館」で『俺のベスト詞』について聞きました!

作詞家になって半世紀。書いた詞は約600曲。その中でも"詞作品"として、いではくが気に入っているのは!?

「すきま風」より「明日の詩」
「故郷もの」と「人生もの」でヒット曲が出たからオーダーもそういうのが多いんだけども、同じ人生を歌った「すきま風*」と「明日の詩*」を比べると詞の出来具合だけで言えば「明日の詩」の方がいい詞を書いたな、と個人的には思ってる。セールスでは全然「すきま風」にかなわないけど。
特に最後の「人生は繰り返せないけど、やり直しはできる」ってところは良いフレーズが書けたなと思ってるし、現にそれを聞いて「もう一回やり直してみよう」と自殺を思い止まったという方の話を直接聞いた経験もあって尚更、人の心に自分の詞が伝わったんだ、と自信になった歌だよね。

沖縄の歌
沖縄が大好きで(コロナ前までは)毎年必ず行ってて、そこでミヤギマモルさんと知り合って書いた詞「愛しき島よ*」は、沖縄の人たちの大らかさとかそういうような生活ぶりを詞にできたという手応えがあるから、これもちょっと自分の中では良い詞を書いたなぁという風に思ってるね。

青春の歌
(今回のテーマを)急に聞かれたから、ちょっとパッと出てこないけど、あとは…学生時代、早稲田大学で学んだというイメージでいうと、自分の青春時代を書いた「青春のポケット*」とかボニージャックス結成60周年記念で出した「青春の1ページ*」とかなんかも、売れた売れないに関わらず、自分の青春時代を思い起こさせるという意味で気に入ってる。
あ!それから中澤卓也さんの「彼岸花の咲く頃*」。赤い彼岸花を線香花火に見立てた歌なんだけど、これは誰も気がつかない発想を歌詞にできたという意味で納得のいく作品。
そんなとこかなぁ、今思いつくのは。

おまけ:他の作詞家の詩で「すごい!」と思った作品は?
色々あるけど、だいぶ昔の曲で「湖底の故郷*」って曲があるんだよ。この歌なんかは「いやぁ、わかるなぁ」というアレはあるね。情景が思い浮かぶだけじゃなくって、ダムができるから自分の故郷が湖の下に沈んでなくなっちゃうんだけど、そういう心情を表現するのに歌い出しのフレーズには「染みるなぁ」と。
それから「勝手にしやがれ*」とかね。それまでの歌謡曲で、こんな乱暴な言葉を使った歌はなかったから。こういうのも歌になるんだなぁと感心した。

今回はこれまで。いかがだったでしょうか?第6回のテーマは『師匠 遠藤実』です。お楽しみに!

すきま風* 歌:杉良太郎 作曲:遠藤実 編曲:京建輔
明日の詩* 歌:杉良太郎 作曲:遠藤実 編曲:京建輔
愛しき島よ* 歌:ミヤギマモル 作曲:ミヤギマモル
青春のポケット* 歌:南一誠 作曲:大谷明裕 編曲:宮崎慎二 購入サイト
青春の1ページ* 歌:ボニージャックス 作曲:大谷明裕
彼岸花の咲く頃* 歌:中澤卓也 作曲:田尾将実 編曲:若草 恵 オフィシャルMV
湖底の故郷* 歌:東海林太郎 作詞:島田磐也 作曲:鈴木武夫
勝手にしやがれ* 歌:沢田研二 作詞:阿久悠 作曲:大野克夫 編曲:船山基紀

今回のお店:吉祥菜館

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